CENTRAL_

先週、一年点検のため香川県・豊島の「海のレストラン」へ。昨夏の竣工から早一年。この日はあいにくのドン曇りだったけど、赤いコンクリート基壇と青い海に加え、今は広場の緑のシロツメグサも加わり、コントラストがよい感じだった。
実はこのプロジェクトの初期段階から施工サイドの指揮をとって頂いたナイカイアーキットの佐藤一隆さんがこの春に他界された。氏の施工者としての尽力あっての竣工だったとも思っている。仕事に厳しく的確で、設計者やクライアントのよき理解者、本当に頼れる方だった。葬儀に行った後、まだあまり実感のない状態でこの3年ほどにやり取りした数えきれないほどの量のメールを見ていてつくづくそう思った、いろいろ助けても頂いた。このレストランとほぼ同時に竣工した永山さん設計の豊島横尾館の竣工式典がこのレストランのこけら落としとなったわけだが、その時もレストランのテラスで、協働した方々やオーナーと一緒に、安堵の笑みを浮かべる佐藤さんと乾杯し合ったのが、つい先日のことのように思い出される。
その少し前、これも施工を担当して頂いた豊島の「イルヴェントの白い寮」(2011)に一緒に宿泊した時には夕食中、歳頃の娘を持つ父親としての心中を話ってくれたことも。いずれ同じ境遇を迎えるであろう僕にとってはすごく印象深い思い出。
その時と何一つ変わらない穏やかな瀬戸内の海を眺めながら、当時のことを思い出して人の儚さや素晴らしさを感じる、普段とは少し勝手の違った一年点検。最初に協働させて頂いてから3年余りと短い間でしたが、ご一緒させて頂き光栄でした。佐藤さん、本当に有り難うございました。