DAYS_

Mitsutoshi&Tomoko Takesue

アイリーン・グレイ建築 “E1027″

こんばんは、嫁のほうです、朋子です。 10月末頃から公私共に(いや、もともと公私混同だから、この言い方はヘンですね)落ち込んだりざわついたりしてたら、見逃しました、福岡市内でも上映されていた映画『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』。20世紀初頭にスーパーモダンな感性を持ち合わせた女性建築家アイリーン・グレイが設計した建物”E1027″ にまつわる映画で、フランスの巨匠建築家ル・コルビュジエも登場するという、organ的には見逃したくなかったものです。

残念なので、2年前にカップ・マルタンで見学ツアーをしてきた”E1027″の写真をほじくり返して見てました。そして、ふと、さきの映画を観た人で、現存するこの建築をいつか見に行きたい人がいるのなら、と、写真とともにプチレポートしとこうかと思いました。はっきりいって、ザックリです。そして、残念ながら現在”E1027″の一般公開は締め切られています。ただ、全ての修復が終了したら、ちゃんとオリジナルの形でまた一般公開を再開するらしいのです。いつかの、どこかで、もしかして参考になるなら、的な。ということで、はい、どーぞ。IMG_1508最寄り駅は「ロクブリュヌ・カップ・マルタン」。とても小さな駅。私達は車で行ったので列車事情はくわしくわかりませんが、隣町&イタリアとの国境の街 マントン(そこがコルビュジェの妻イヴォンヌの故郷、だから休暇小屋を作ったといわれています)の駅からアクセスは簡単だと思います。この駅の真横にファウンデーション”CAP MODERN”の事務所はありました。(2015.10月時点)

IMG_1509ル・コルビュジエが最期を過ごした休暇小屋”キャバノン”と、宿泊施設 “ユニテ・ド・キャンピング”も含む敷地全体を管理し、同時に”E1027″の修復を行っているファウンデーション。http://www.e1027.org/

見学ツアーは事前にネット予約が必要。予約しなくても外観くらい見れると思うなかれ、建物までのアクセスも、敷地のゲートがきっちり閉められているので残念な結果になります。

IMG_1406事前予約した時間に事務所へ行き、参加者が集合したら案内スタート。線路脇の細道をガイドに案内されて進むのですが、振り返るとモナコ公国あたりが見渡せる、まさに地中海の絶景。だからこそ、みながここに建築物を建てたがったんでしょうね。ちなみに下にはビーチが見えます。ここに滞在して海水浴中に心臓発作で死んでしまったコルビュジエ、それはあそこらへんだったのかな?とか、妄想しました。そうこうしていると到着、敷地にアクセスできるゲートが開けられます。IMG_1407
IMG_1409“E1027″登場。

ちなみに建物内部は写真撮影禁止。なのでここから先は、外観と、いくつか私的に目に入ったポイント部分しか写真がありません。IMG_1414エントランスの外側。この建物は斜面に建っているので写真左側(陸地斜面側)は敷地がぴっちり小狭い印象。というか、へばりついてるかんじ。床から一段高いレベルには黒タイルが使われたスペースがあり、コントラストが格好良い。IMG_7150
ザ・玄関(2Fから入ります)

IMG_1416建物の隅までガラスを使うところは凛々しい設計。

IMG_1427玄関を入って目に入る長細いメインリビング(2Fにあります)は撮影禁止なので、はしょって、いきなり海側のバルコニーへ視点を。「船」をイメージしたらしい(アアルトにしても、だれにしても、当時はみなさん、船が好きだったんですね、よくそのフレーズを聞きます)ので、まるで甲板のようなバルコニー。目をやれば本物の地中海と大型客船なんかも見えるのだから、ここでなら、本当に船に乗ってるような気分になるかもしれません。IMG_7181IMG_7161そして色々と工夫された窓枠の複雑な構造にも目を奪われます。IMG_7186あれよあれよと、海側の外階段から下へ降りるのですが、目に入ったのは庭の片隅に作られた小さなプールみたいな凹み。日光浴用の設備らしい、ユニークです。

IMG_1423たしかに、この日はお日様さんさんと照っていて、そりゃフランス人ならワイン片手にもう脱いでますね、きっと。

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IMG_7183そして、ピロティ部分?とでもいうのでしょうか、1階の天井高は意外と低い、コルビュジェがふたつの絡まる女体像を落書きをしたという外壁のある部分です。たしか映画にも出てくるんですよね。IMG_1432IMG_7191ここから海岸側にある庭を通じて、反対側面にある階段を登ると、すぐ斜め上に、コルビュジェの建てた休暇小屋”キャバノン”と、宿泊施設 “ユニテ・ド・キャンピング”があるのです。まるでこのE1027を覆うように。いや、見張るように。。なんのつもりだったのか、すごいギョッとします。

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とても狭く急な階段です。ここから先にコルビュジエ・ワールドが繰り広がるのですが、それはまた。というか、訪れる時のためのお楽しみにしといてください。

アイリーン・グレイのことは、夫が以前リアルタイムで[DAYS]コラムを書いていましたので、ぜひそちらで。「ゆっくりお入りください」

そこにも出てくるのですが、当時、この建物の建築をアイリーンに依頼したのはジャン・バドヴィッチという建築雑誌の編集者。20世紀初頭という時代に、ひとりの女性デザイナーの才能を見抜き、実際には建築のキャリアがなかったアイリーンに建築を依頼したこの男性あってこそ!の今です。ブラボー!

ちなみにこの建築の名前 “E1027″ の由来を、ガイドが教えてくれました。記号をばらします。

E =アイリーン・グレイ Eileen Gray の E

10 = 10個めのアルファベット= J = ジャン・バドヴィッチ Jean Badovici の J

2 = 2個めのアルファベット= B = ジャン・バドヴィッチ Jean Badovici の B

7= 7個めのアルファベット= G = アイリーン・グレイ Eileen Gray の G

依頼者と建築家のアルファベットが仕込まれたネーミングだと知ることができて、にやり。(このトピックは映画にもでてくるかしら?)ジャン・バドヴィッチはアイリーン・グレイに挟まれてる(守られてる)んですね。

写真も多くなりましたので、今日はここまで!

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