DAYS_

Mitsutoshi&Tomoko Takesue

TWO FOR THE ROAD

こんにちは、しばらくぶりの朋子です。今回は先月訪れた南フランスと映画のことを少し、書きます。
誰にでも気に入りの映画がいくつかあると思いますが、私にも、あります。スタンリー・ドーネン監督が1960年代に撮った『いつも2人で』という、時間軸を超えた夫婦のロードムービー(か なり勝手でざっくりな私的映画説明)なのですが、倦怠期の夫婦のものがたりなのに切なく笑えるところがポイント高い!主人公のオードリー・ヘプバーンのファッションも素敵で、ヘンリー・マンシーニのメロディアスな音楽と、連発される皮肉なセリフまわしも大好物です。

そして舞台がイギリスから国境を超えてフランス〜コート・ダジュールへと流れこんでゆく、そこがポイント!移動・移動です。c1.001

ある時この映画を観ていて「映画のシーン(ロケ地)に見覚えがある=あ!ここ、私たちも多分行ったことあ る!」という発見をしました。それはおそらくマントンからエズ村のあたりで、以前私たちがorganをスタートさせる少し前に、多くの画家やアーティスト を魅了したというコート・ダジュールの街々へ、これから自分たちがはじめる”何か”のヒントを拾ってこようと訪れて、見た風景だったのです。
気に入りの映画と景色を共有できたという小さなヨロコビから、気分はますますこの映画に急接近。そしていつかまた車を走らせそこを訪れ、今の自分の視点で海岸沿いの道路や車、カフェ、景色を見てみたいと考えるようになっていました。

 その念願叶い、17年ぶりくらいにその小さな村や街を訪れました。メインの目的は、カップマルタンにあるル・コルビュジエの休暇小屋とアイリーン・グレイの 建物E1027を見学することでしたが(このお話しはまた今後)、もちろん、マントンとエズ村へもブーン、と、レンタカーならではの自由度でGo!

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c3.001 c2.001 映画の中で、オードリー・ヘプバーン扮するヒロインが浮気現場をおさえられてしまう断崖絶壁のカフェはぜったいにエズの “あそこ” だよね、と、現場検証も兼ねてわざわざお茶を飲みに行ってみたのですが、カフェはあいにくの休み。がーん!ここまで来て残念…。くやしいからエズで1番高いとこまで登り、上からそのカフェテラスをチェックして、「ほーら、やっ ぱりあそこに違いない」と確信&気がおさまりました。”鷲の巣”と呼ばれる丘の上の古い城壁村ならではの絶景を見下ろしながら強い風に吹かれ、 あぁ、そういえばここは風が強いんだなぁ、以前もパラソルが飛びそうであのカフェテラスで大変だったな、と記憶が蘇って不思議な感覚でした。c4.001
さてさて、ヘンな執着はそこそこに、私達もまだまだ仕事で移動が続きます。車をブーンと最終的にはアビニョン方面からマルセイユまでの移動がはじまります。(私達のドライブは、映画のふたりのように優雅なものじゃ、まったくありませんが)

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ちなみに映画『いつも2人で』は、あいかわらず関係性が調子悪い主人公の夫婦ふたりがイタリアへの国境検問を超えてゆくシーンで終わるのですが、あれはマントンの国境だと信じています。そしてきっと彼等はそれから先も口論したり海越え山越え、人生という長い道のりを(あ、とんちピクルスの歌詞みたいになっちゃいました、すいません)一緒にドライブ続けるんだ、とも信じています。

わかりやすいことだけが、正解じゃない、と、この映画が私に教えてくれたように。

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