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Koichi Futatsumata

05 – Renault 4 GTL(H川氏所有)

IMG_3567税金・燃費・部品問題で次々と廃車されてゆく、主に80〜90年代の車に好き好んで乗っている人たちの愛車を紹介するコラム。第五回はRenault 4 GTL。
m4サイドから見たこの独特のボディーラインやウインドーのフォルム、とても感覚的だと思うのです。日本では通称キャトルと呼ばれてます。この車体は1980年代の製造。1961年に製造が始まり1992年までに830万台以上が製造され、製造車数史上第3位(1, 2位はT型フォードとVWビートル)の記録を持ったフランスを代表する大衆車です。
IMG_3571元々は、当時爆発的に売れていたシトロエン2CVを見据えて開発された車だそう。そしてこのキャトルは以前ここで紹介したRenault Clio 1、その2代前の祖先にあたります。このRenault 4の血が、Renault 5(サンク)へ引き継がれ、更にそれを受け継いだRenault Clio 1。名車のDNAは脈々と受け継がれるものなんですね、これまでは。まあ、電気の時代にどうなるかは微妙なんですが。
IMG_3574やはり車はお尻、いや後ろ姿。実にキュート。フロントは顔ですから直接的に訴える感じなんですが、後ろ姿というものは人と一緒で彼らの気配や余韻のようなものがにじみ出るもの。そしてこのボディーの塗装、実はオーナーであるH川さんがなんと刷毛で塗ったそう。よく近づいてみると刷毛目が。なんと言う愛情でしょうか。設備不足がそうさせたなんて言わせません、僕には愛情の裏返しにしか感じられない訳です。いい雰囲気のサンドベージュ。シートも最近、個人輸入して装着したばかりだそう。

d趣きあるディテールの数々。屋根の水抜き穴はこの頃の車に多く見られます、このアナログ感がいい。僕も30歳前後でクラシック・ミニに乗っていましたから何だか懐かしいです。そして以前、東京で知人がカー・◯ラフィックの副編集長をされていた頃、その編集部がテストカーとして所有していたキャトルを都内で運転させて頂いたことがあります。ストレスなく走ったんですが、このシフトレバー(ハンドル右横)にはなかなか慣れなかったのを思い出します。でも今見ると意外に最近の自動車に多いレバーの位置ですね。そしてフロント席のスライドガラス、このカットライン・・・さすがフランスです。これが大衆車、つまりはフランス人の一般的な価値観の代表みたいなものであって、それがこのラインなんですね。シトロエンのCXという車に付いていたリアガラスの逆アールを思い出します。安全基準の厳しさなどから特に2000年以降は世界中の車が似通ってきた感があります。だからこそ、これが最高だと信じて疑わない彼ら独特の美意識のような部分が大衆向けのマスプロダクトに残せたこの時代の表現の豊かさを感じずにはいられません。今ほどグローバル化が急激に進む前の大衆車の多様性に惹かれるのはそういうことなのかもしれません、まるでその生まれたお国柄や文化背景の申し子のような車。その最終形が80〜90年代なのかもしれませんね。
H川さん、有り難うございました。愛情の深さ、拝見出来て光栄でした。

以前のコラム
04 – FIAT PANDA YOUNG(M澤氏所有)
03 – Volvo 240GL Station Wagon(Y口氏所有)
02 – Renault Clio1(F戸氏・F俣所有)
01 – Land Rover Defender 110(I田氏所有)

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